ワンルームや1Kなどの狭い単身用賃貸は、他との違いをつくるのがとても難しいです。 その狭い専有面積のなかに、レギュラースペース、レギュラー設備を整えると、だいたいそれで終わってしまいます。ゆえに、ワンルームや1Kはどれもだいたい似たような部屋になり、違いが出せません。
リノベーションによって新しい住まい方を提案する場合、たとえば、在宅ワークを支援する書斎や玄関から土間続きのSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)、趣味の読書スペース、カフェスペースなどなど、これらはあくまでリビングルームやベッドルームとは別にスペースを取る必要があります。それらオプションのスペースのために、レギュラーの生活空間(寝るところ、食事をするところ)が削られてしまうのでは本末転倒。
そうした理由で、今回は、機能(住まい方の提案)で違いを出すリノベーションではなく、見た目のインパクト、見た目のデザインで個性を出すリフォームを行いました。
場所は、長崎駅にほど近い恵美須町。近年の長崎駅周辺の開発によって、主にショッピングの利便性が高まり、県庁や新市役所などへのアクセスも良く、さらに人気が高まってきているエリア。のはずですが、狭い単身用の物件は、依然として空室が目立ちます。若年層の流出を伴う人口減が主な原因だと思います。需要が少ない買い手市場の場合、売り手は、経営の基本である「違いをつくる」ことが賃貸経営においても必要なのではないでしょうか。
今回の部屋のテーマは「ロマ」。「ロマ」の人々は、以前は「ジプシー」と呼ばれていました(現在は差別用語とされています)。主にヨーロッパで生活しているインド起源の民族で、カラフルで妖艶なイメージがあります(占いのイメージが強いですね)。「ロマ」をイメージしたカラフルな内装は、個性派女性をターゲットにしています。これまでの弊社のリノベーションではあまりなかった色合いのクロス(壁紙)、キラキラとした照明器具も個性的なものを大胆にチョイス。
さらに、少しでも空間が広く感じるようにと、天井を解体して(ヌキ天と呼ばれるものです)、あえてコンクリートむき出しでデザインしました。これも個性を出すことに一役買っていると思います。
内装の色をコーディネイトするとき、入居者のインテリア(家具など)の邪魔にならないように、基本は白い壁に茶色の床といった、まだ見ぬ顧客のどんな色合いのインテリアにも合わせやすいように気を配るようにしています。募集の間口を広くするためです。
それなのに、今回これほど大胆に配色できたのは、今回の物件がサブリース物件だからです。工事そのものはオーナーの負担で行っていただきますが、完工後は弊社がオーナーからこの部屋を借り上げて、入居希望者に転貸します。よって、入居者が決まるか、決まらないかは弊社の責任。オーナーには入居者が決まらなくても弊社が賃料をお支払いします。つまり、弊社が入居責任を負っているので、逆に弊社は大胆な配色ができた、というわけです。
リフォーム後
リフォーム前
間取りを変更しました
施工概要
1K→1K
長崎市恵美須町
築20年(施工当時)
鉄筋コンクリート造
内装オールリフォーム工事
56日間(2戸同時改装)
完工後、24日間で成約しました。