新しい長崎駅の稲佐口側(出島メッセ長崎など)から見て、浦上川を挟んで向かい側にある弁天町。もしも旭大橋と稲佐橋の間に、フラットで歩きやすい橋がもうひとつ架かったら駅チカの好立地になるのに・・・といつも妄想してしまうベイフロントエリアの一角。
今回は、そんな立地にある賃貸マンションをリノベーションさせていただきました。元は昔ながらの和室の3K。これを現代的な間取りに変更するだけでなく、トレンドに流されない尖った特徴を加えることで人気が長続きするように考えました。賃料設定を考えると、無難に2DKや2LDKになりそうなところですが、そこをあえて1LDKとしました。
その代わりに、図面上では「見えている」けれど、実際には「見えない」サービスルームをつくりました。どういうことかというと、サービスルームの入口のドアをマガジンラックに仕立てて、一見するとドアには見えない「秘密のドア」にしたのです。この「秘密のドア」のおかげで、ただのサービスルームが「秘密の部屋」に変身。
サービスルームとは、簡単にいうと「納戸」。部屋と呼べるほどの広さや採光・通気性を有していない部屋のことをいいます。しかし、本件のサービスルームは窓が2面にあり、設備としてエアコンも設置し、納戸と呼ぶには贅沢なつくりになっています。想定としては、在宅ワークや趣味の書斎としてつかっていただけるように設計しています。
入居は完工前に決まり、完成を楽しみにしてくださっていたご契約者様にも完工後に内覧していただいたところ、「秘密の部屋」をどう使うかワクワクなさっていたとか。長崎市内に「秘密の部屋」のある家がいくつあるかわかりませんが、少なくとも賃貸物件では、今のところここだけではないでしょうか。「秘密の部屋付賃貸住宅」として、18万分の1の希少物件です(長崎市の世帯数=18万世帯)。
18万分の1のリノベーションが実現したのは、オーナーは収支だけチェックし、プランニングはすべて弊社にお任せいただけた、というのが大きな要因のようです。企業の「所有と経営の分離」みたいな感じでしょうか。
今回のプランニングの最大のポイントとして、「秘密の部屋」は、建具を「秘密のドア」に変えただけなので、実はそれほどコストがかかっていない点(お金ではなく企画力を使った点)。これはビジネスの観点。
そして、もうひとつ。もっとも重要なのは「秘密」のストーリーにユーザーにも共感していただけた点です。ユーザーは(仲介業としての)私たちの顧客でもありますが、実際にはオーナーの顧客。つまりはユーザーに愛されるリノベーションをやることがオーナー貢献になるとあらためて思わせてくれた事例でした。
リフォーム後
リフォーム前
間取りを変更しました
施工概要
3K→1LDK+S
長崎市弁天町
築51年(施工当時)
鉄筋コンクリート造
リノベーション工事
61日間
完工前に成約しました。