老朽化したワンルームの改装で、天井を抜きました

長崎のリノベーション事例

 旧市役所のすぐ近く、興善町にあるワンルームの賃貸マンションをリノベーションしました。一戸あたりの専有面積が少なくとも40㎡以上あるような物件なら、テーマをもって造作を加え、機能性を追加することができます。結果的として造作した部分がそのお部屋の個性となり、他の無個性な部屋との違いが出せます。それがまさにリノベーションの醍醐味。

 しかし今回は、23㎡ほどの狭いワンルーム。ベッドスペース、収納、キッチン、浴室、トイレ、洗濯機置場など、最低限必要なパーツをはめ込んでいくと、それだけでいっぱいになってしまい、それ以上の造作の余地はほとんどありません。そこで、縦の空間を広くする目的でベッドルームの天井を抜きました(天井を撤去)。 これによって、見た目にも違いを出すことができます。「抜き天井」は特に珍しいものではありませんが、長崎の賃貸では決して多くはありません。「違いをつくる」という意味では、有効な手段だと思います。

 天井を抜くことで実際に「体積」が増えるので広く感じる効果がある一方で、その代償として、防音や空調効果が下がることがあります。けれど、見た目の格好良さや解放感などのメリットがそれらのデメリットを軽く上回ってしまう感度を持ったユーザーは多く存在します。今回はそんなユーザーの方々をターゲットにした企画であり、そうでない方をターゲットにしていません。リノベーションにおいては、この「そうでない方をターゲットにしない」という明確なマーケティングが必要なように思います。

 さて、もう一つ本物件には欠点というか、一般的な賃貸と比較して設備的に足りない部分がありました。ベランダがなかったのです。そこで、室内の窓際に鉄製の無骨なパイプを取り付けて、ここに物が干せるようにしました。ベランダより優位な点として、天気に左右されないところや、洗濯物に限らず、普通に服の収納としても使えることなどがあります。本物件ではさらにもう一つ、浴室に浴室乾燥機を設備として追加しました。下着類や濡れてしまったスニーカー等は浴室で乾かすことができます。

 いかがでしたでしょうか。言ってしまえば、「天井を抜いただけ」かもしれませんが、それだけで人気物件に生まれ変われるとしたらお得な企画なのでは、と思います。

 

リフォーム後

壁の一部はグレーのアクセントクロスにしています。
窓の左側にはクローゼットがあります。
天井のモルタルと白い壁、無垢の床がよく合っています。
天井の梁もあえてクロスを貼らずにむき出しに。
天井には、照明器具を自由に取り付けられるダクトレールを完備。
クローゼットの内部。棚板は可動式で取り外すこともできます。
キッチンは機能性よりも、ルックス重視でチョイス。
窓際には物干しに便利な鉄製のパイプ。
ベッドルームの床は、ナラの無垢材を使用。
普通に服や植物を下げても格好いいです。
浴室乾燥機は物干し以外に、冬の浴室暖房にも。

リフォーム前

老朽化していた室内。
キッチンは古い公団型でした。
建具もだいぶ痛んでいます。
タイルの風呂は、改装後は新品のユニットバスに変更しました。
古いトイレも、ウォシュレット付の新品に交換しました。
昔ながらのジプトーン天井には少しシミが。施工前にこういった部分の点検も行います。

間取りを変更しました

before
after

施工概要

間取り

1K→1K

施工場所

長崎市興前町

築年数

築38年(施工当時)

構造

鉄筋コンクリート造

施工内容

リノベーション工事

工期

55日間

入居申込

完工前に成約しました。