貸し事務所や単身用の狭い賃貸住宅は、どちらも少ない需要に対して供給が多すぎて空室が特に目立っています。長崎市の転出超過は 2020年から3年連続で全国ワースト2位を記録し、2022年、人口はついに40万人を下回りました。あらゆる業種の支店は統合され(多くは福岡に集約され)、不動産業で働く私たちの肌感覚としても、若い世代の県外流出はこれまでよりさらに加速したような印象を受けます。今後、事務所や狭い単身用賃貸の需要が戻ることは考えにくく、狭いまま内装だけきれいなリフォームを施しても、賃料アップどころか入居そのものが怪しくなってきました(きれいなだけなら築浅の物件のほうが強いです)。
ある程度の広さを持った住居なら、古くなってもリノベーションによって間取りを変更したり、一般的な賃貸にはない機能を加えることで、ただ新しいだけの賃貸とは一線を画すことができます。しかし、1K、ワンルームなどの狭い住居はそうはいきません。そこで当社では、狭い賃貸は横や縦に隣り合わせる2世帯を合体して、1LDKや2DKといった単身だけでなくカップルも狙えるようなリノベーションを推奨しています。2つを合体したから賃料も2倍、というのは相場に合わないので、施工前より合計賃料は下がりますが、稼働率は圧倒的に高くなるので合体後のほうが実際の収入は増える計算になります(施工前の稼働率によります)。過去の例を見ると、「空いてもすぐに成約する」ということ以上に「なかなか空かなくなる」という理由で稼働率が上がっているように思います。単に合体しただけではそうはなりませんが、前述したようにリノベーションによって、ただ新しいだけの賃貸にはない魅力をつくっているからです。
さて、今回は入居が厳しい1階の事務所と2階の狭い住居が縦に空いたので、これを一挙に解消するべく、2世帯を縦に合体。1階を車庫、2階を住居とするメゾネットタイプの「ガレージ・ハウス」をつくりました。1階は車庫の奥に玄関を設置し、2階の住居面積を確保するために浴室も1階としました。室内階段を新設し、2階はベッドルームとキッチンになっています。車庫が屋根付きの個室であるため、車や大型バイクが好きな人が主なターゲットとなります。尖った企画の場合、オーナーは入居が不安になることもあるかもしれません。ちなみに本案件は、当社がマスターリース(転貸借を目的とした借り上げ)しており、オーナーはブレのない一定収入を得て、安全に投資回収が可能です。
この建物では、実はこれが2回目の試みです。1回目は昨年2022年に本件の隣の上下を合体。すぐに入居が決まり、現在も絶賛稼働中です。合体は、縦や横の組み合わせとその企画(ただ合体するだけでは築浅の競合に勝てない)が大事なので、事前計画をして、空いた順番に施工していくと良いと思います。
リフォーム後
リフォーム前
間取りを変更しました
施工概要
事務所+1K→メゾネット式ガレージ・ハウス
長崎市筑後町
築41年(施工当時)
鉄筋コンクリート造
上下合体リノベーション工事
54日間
現在、募集中です(当社サブリース中)。