エレベーターなしの4階と5階の部屋をつなげてメゾネットタイプの住居にしました

 長崎駅から徒歩圏内とはいえ、部屋がエレベーターなしの4階、5階にあり、加えて老朽化が進んで空室期間が長引いていた2Kマンション。4階と5階でまったく同じ間取りの部屋がちょうど上下同じ位置で空いていたので、これを室内階段でつないで、メゾネットタイプの4Kをつくりました。

 もしも上下につなげることなく、2世帯別々のまま、個々にそれぞれの部屋をリフォームした場合はどうなるでしょうか。

 下の間取り図を参照して考えると、既存のキッチンとその横のベッドルームをつなげて洋6LDK8.5の1LDKをつくることができそうです。しかし、実際には1LDKはつくれません。

  まず設備として、室内洗濯機置場や独立洗面台の設置は現状必須条件です(あることのほうが当たり前です)。さらにそれらが露出しているより、洗面脱衣室のなかに入れるほうが見栄えが良いので、脱衣室のスペースも必要になります。できれば、玄関からリビングルームが一望できないように目隠しの壁や建具も欲しいところ。

 そうするとせいぜい1DKが精一杯となります。表面だけ1LDKをこしらえても、WEB上の検索で選ばれる設備を備えていなければ、結局賃料は入ってきません。しかも、 狭い単身用の1DKでエレベーターなしの4階と5階。1DKは築浅のエレベーター付きでも市場に余っている状況です。

 さらに、リフォームコスト面でも、4K×1よりも、1DK×2のほうが高くなります(水回りの設備が2倍になるので)。高くつくわりに、決まるかどうかはわからないという、かなりリスキーなリフォーム提案になってしまいます。

 そこで今回は、上下をつなげる提案となりました。上下につなげる利点として、まず玄関を4階にすることで、「エレベーターなしの5階」という悪条件を回避したこと、4Kという需要のあるカップル・ファミリー用であること、メゾネットタイプは間取りとして人気が高く、競争力があることなどが挙げられます。

 今回のコンセプトでは、ワークスペースと住居一体型のSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)を目指しました。下の階はワークスペース。小商いもできるように、玄関、キッチン(給湯室)、トイレを備えています。上の階は住居スペースを想定し、ベッドルームやリビングルーム、浴室などが設置されています。

リフォーム後

下の階のワークスペース(想定)。
玄関から近く、オフィスにも向いています 。
隣の部屋はオフィスのバックヤードとして(想定)。
続いて、上の階です。階段を上るとリビングがあります。
リビングにはバスルームが隣接しています。
オフィス想定なので、床はフロアタイルを使用。
ワークスペースの隣にはもう一部屋あります。
抜き天井はモルタルのヴィンテージ仕様。
リビングの隣にはベッドルーム。
よく眠れそうな無垢材の床のベッドルーム。
下の階の玄関近くの手洗い。
下の階にあるキッチン。
上の階(住居想定)の洗面台。
オープンクローゼットは、上下階ともにあります。
玄関横の収納。シューズボックスとしても利用可能。
無垢材の階段は滑り止めにも。

リフォーム前

老朽化した水回り。
改装前の玄関の様子。
昔ながらのジプトーン天井の部屋。

間取りを変更しました

before
after

施工概要

間取り

2K×2→4K(メゾネットハウス)

施工場所

長崎市筑後町

築年数

築41年(施工当時)

構造

鉄筋コンクリート造

施工内容

リノベーション工事

工期

60日間

入居申込

工事施工中に申し込みが入りました(今回は住居利用でした)。